Shujiro Kubota どちらでもなく、どちらでもある

教室の隅…いや、隅ではないけれど、わりかし端の方にいつも座り、あまり話さないけどその背景は気になるクラスメイト。彼を例えるならそんな感じだろうか。
イラストだけではなく写真や音楽なども用いて独自の空気感を描写するアーティスト・Shujiro Kubotaのバックグラウンドを聞いてみた。

 

 

〈はじめに〉

Shujiro Kubotaは別名「shakawin」という名前でも活動している。
その位置付けというのは現在の本名での活動と並行しており、デザイナーやイラストレーターとしての活動をshakawinとして発表しているようだ。

 

また界隈や表現媒体に捉われることなく、Shujiro Kubotaとしての活動もshakawinとしての活動も知ってほしいとのこと。

 

 

 

 

架空のミュージシャンであるカナダのオルタナティヴロックバンド、NIGHT WANDERERS の 4th full album 「t r i p !」 のアートワーク by shakawin

 

 

 

──簡単に経歴をお願いします 。
浪人するまで自我がなかった。浪人してから自我が芽生えて、それから物事を考えるようになった。

大学入ってから人生が始まった感じです。

 

 

 

──浪人がきっかけなんですね。

芸大の先端落ちてから、やばいって、しっかりしなきゃって思って。

 

──それは焦りからなの?

多分…。

甘えてて落ちたから(笑)、それでちょっとちゃんとしようと思って。
それでようやく自我も芽生えた。本当になかったなと思う。
──浪人の前から制作はした?

してた。絵とか写真とかだったら、前からやってた。

絵は際限なく前から。小学校の頃とかから好きだったから。写真はスマホ持ってから。
始めに、絵が好きだからというのと、おばさんが芸大の関係者で、
予備校に知り合いがいるからって言って、高1とかの時に連れて行ってもらった。そこから美大受験へのルートになった気がする。
それで初めてちゃんと美術を学び始めたという感じ。
それまでは単に絵を描くのが好きで。
あとは漫画とか。

自我なかったから、いろいろ相談してたら流れで美大を目指してた。

 

 

──とりあえず進学しよう、みたいな感じ?

うん。

でも、高3と浪人くらいの時に、何やろうかとか見据えて制作してたと思う。

 

 

 

──当時(高3と浪人)何を考えてたか覚えてる?

美術を勉強し始めて面白くなって来たから、現代美術の方向に進もうとしてた。

でも浪人は私大デザインに行ってた。
始めからメ芸に行くつもりで勉強してた。メ芸の方がポップなイメージがあるし。現代美術が特別やりたいというわけじゃなくて、根本は絵とか映像とかが好きだから、
本当に好きなことがやりれるかなあと思って。あと音楽、、バンドとかやってた。音楽をやってたから、自分の曲を交えて制作したいなみたいな気持ちがあった。(メ芸=多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース)

(私大デザイン=美術予備校で私立大学のデザイン系学科を全体的に差す用語)

 

 

──ええ、そうなんだ!バンドだったり、宅録だったり、っていう音楽の活動はいつどんな感じで始まったの?

一番初めは中二の時に、けいおん!みてギター買った。笑

高校の時に軽音部入って、オリジナルも作り始めた。
バンド解散しても宅録にハマって一人で曲作ったりしてる。
あんまりあげてないけどめちゃめちゃ作ってる笑。

大学入ってからは、また音楽系のサークル入って、、って感じです。

 

 

 

──一人でやってる時期の方が長いんだ。

うん。長い。

 

 

──作詞もやってた?

やってました。

 

 

 

──私はShujiro Kubotaさんの作った曲を知ってるけど、詩に特徴を感じてた。どういう意識を持ってやってるとかある?

 

この前谷口さんに言われた、ものの見た目とその語感について。例を挙げるならカタカナの「キ」が「鋭」の字、みたいな。

最近めっちゃゲームをやるんですけど、ゲームに出て来るキャラクターに、その見た目っぽいカタカナとかを想像して付ける。

それが習作。

 

 

──作詞の時もそういうのはある?

ある。必然的に、詩も音的になるというか。自然にそういうのを大事にしてるなっていうのはある。

鋭い音は鋭い言葉で、的な。
あと、おかしな言葉が好きで…。
何言うてんの?みたいな。でも何言うてんの?て言う感じではないというか。

何言ってんの?みたいな感じだけど、何言ってんの?みたいな感じじゃない(笑)みたいなのが好き。

 

 

 

──この前とか界隈の有名な人と飲みに行ってたのを聞いたけど、周りにいるインフルエンサー達とはどんな感じで交流を深めたの?

絵をインターネットにあげて、ボカロの曲好きだったから、ボカロの曲に対して二次創作的なのをやってたら、作った人が拾ってくれて。

一番初めは、こんにちは谷田さん とか、 メル さんとか。
もう二、三年くらい前かたインターネット上の知り合いです。

インターネットすごいよ…単純に彼らの1ファンだったので。

 

 

 

──このような人たちから仕事を一緒にしたこととかはありますか?

あーー、ある。CDジャケットとか。イラストというか、デザインよりなのかな。

そこらへんの界隈でコンピ出すとかCD出すってなった時に、話が来るようになったかも。

 

「tribute to mer」 アルバムアートワーク by shakawin

「youth.」 CD、歌詞カードデザイン by shakawin

 

 

──音楽の原点はアニメ「けいおん!」とおっしゃっていましたが、デザインとか絵に関しての原点は何かありますか?

 

起源とか、影響という感じなら漫画家のpanpanya

高二とかの時に、友達に教えてもらって。この人が藝大の先端を卒業した、みたいな噂をちょっと聞いて、それも現役の時に先端を受験するきっかけになってた気もする。 真意はわからないんですけど(笑)。

それで、またここでも美術の風に流されて〜って感じ。

最近だと大学の先輩で、山口さん。すごいかっこいい絵を描く…

 

 

──今でも興味はイラストとか、絵とかにあるんですね。

映像だったら、予備校で教えてもらった フィッシュリ&ヴァイスの「ゆずれない事 正しい方向」がめっちゃ好きです。

あとは田中功起の「everything is everything」。
ああいう感じ、、が好き。あとは北野武かな。

 

 

──色々な媒体を行ったり来たりして制作しているなというイメージがありますが、意識して色々なメディアを取り扱っていますか?

意識してない。と思う…

割とメディアに依存してて、

写真作品を作るなら、写真が撮りたいという気持ちがあってそこから作り始める感じ。先に媒体を決めて、そこからどう面白くするかみたいな。

 

6.20(2017) by Shujiro Kubota

 

 

──昨年やんツーさんの授業の元で制作していた作品は、作品にレコードプレイヤーを使いたくて作ったという感じがします。

そう!何作るかギリギリまで決まらなくて、前日の夜に作ったみたいな。

でもあれあんまり上手く行った感じしなくて。習作の方がうまく行った。

メトロノームの動きを止めるだけなんだけど…それだけなんだけど。それが超よくできたなと思って。最終作品よりこっちの方が面白かった。笑

 

 

メトロノーム殺し by Shujiro Kubota

 

──展示の予定とかありますか?

特になしです。

最後にやったのは芸祭の展示。
池袋でやった「BOUNCE」という販売とかのイベントがあったんですがインフルエンザで出られなくて。笑
やりたい気持ちはある。楽しいことしたい。楽しいことがいいと思います…

 

 

──今の拠点は自宅になる?

家ですね。横浜市にあります。

 

 

──いままでの作品を見ていると、家の空気感とか、ちょっと埃っぽい印象を感じます。実家を拠点にしているのとこれは関係していると思いますか?

絶対関係してると思います。

結構閑静なところに住んでて、森とかが多い住宅街なんですよ。住んでる街がめっちゃ好きで。自分の家も同じで、生活感もすごい好き。お年寄りが多いんだけど、お年寄りが多いのも含めて最高なんです。

 

 

──この街から離れる予定はない?

ないですねー。引っ越すなら、もう、ちょっとだけ離れたところに。

なるべく離れたくない。
アクセスとかはすごい悪いんですけど、今住んでる場所にとどまって制作したりっていう意味はすごいあるなあと思う。
作品にも繋がっていると思います。

行くなら、もっと田舎に…。将来的に住みたいと思っているのは田舎ですね。

 

 

<プロフィール>

 

 

 

 

Shujiro Kubota / shakawin

1997年12月24日生まれ。
浪人生活が始まった時に自我が芽生える。
2017年多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コースに入学。
 <shakawin>
 <周次郎>