huez TOSHIKUNI & YAVAO INTERVIEW

1. 渋家株式会社とは? huezとは?

MaltineRecords の大型のイベントの際にはライティング演出として出演しているのが huez だ。特殊な照明機材と彼らの演出センスはいつも考えつかないものだったり、MaltineRecords のイベントを陰で支えてくれているのは間違いない。彼らのチーム結成の成り立ちややってきた仕事、さらに『大都会』と『砂丘』のプラン図を今回公開し、演出プランについてインタビューした。

としくに「huez を始めたきっかけは 渋家 (シブハウス) の地下に クヌギ というイベントスペースでレーザーやLEDテープを使ったライティング演出をしていたらイベントで演出をしてくれないかという話が来るようになって僕と YAVAO の2人で無理やりフリーランスで仕事をしていたのだけど、2014年の年末に tomad と話した時に「仕事を色々振りたいんだけど渋家という家だからクライアントに説明が困る」という話をされたんですよね。

「家ってどういうことなんですか?」「いや、渋家っていうクリエイターの人たちがいっぱい住んでる家でそこから出てきたユニットで……」という話をするのは二度手間だからいっそのこと法人格を持ってくれないかと。

それとは別に YAVAO と渋家のメンバーの ayafuji の2人が2011年から始めたVJユニットが実は huez で、ayafuji がただのVJユニットではなくオープンソース的な形でやっていきたいという話を丁度 YAVAO にしていたらしく、色々なタイミングが重なって名前を頂いたという形ですね。」

YAVAO「2014年に岡本太郎記念館の『One Night Illusion』に参加した辺りに huez の今後の方向性として今、会社を設立しやすくなっているから合同会社という形にしてみんなが関われる環境にしたいねという話しを ayafuji と話していてたところでした。」

としくに「場所が渋家しかなくて、生活も仕事場も全て集約している構造に限界を感じていたので事務所やラボが欲しいという話はしていたんですよね。 そこに丁度 ayafuji くんと YAVAO が huez の今後を話していたタイミングと僕が tomad に法人格にしてくれと言われたタイミングが重なってたんですよね。

あと今一緒にシェアオフィスをしている、舞台やイベントの映像と照明の仕事をしている株式会社 colore の浦島さんと YAVAO が仲良くなって仕事をもらったりし始めた時期だったんですよね。 2014年の年末は色々な話の流れが重なって、2015年に計画を立て始めた時に僕と YAVAO の中で「フリーランスの仕事を会社のように続ける」ということを決めて動きはじめて2015年の4月に今の事務所を colore さんと一緒に借りて僕と YAVAO と渋家の齋藤桂太、松島やすこ、山下永祥の5人で2016年1月に企業しました。」

── 今は仕事の内容など変わり始めましたか?

としくに「規模感が大分大きくなりました。 2011年の夏にやった『もうなんかやけくそでサマーオブラブ』っていうイベントの時にお立ち台的なものを作ったのが一番最初ですね。写真とかで何か高いところに乗っているのは僕が作ったんだけど何も見えないっていう (笑) 」

photo by Yuki Ishida
photo by Yuki Ishida
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としくに「その後くらいからマルチネのお祭りっぽいイベントを任せてもらえるようになって『歌舞伎町マルチネフューチャーパーク』の時はなぜかVJスクリーンを設置したり、くるくる回る照明機材を持って来たり、椅子の片づけなんかもやったりして……。やってることがほぼ土方だよね (笑)

そのあと『東京』で大きいお立ち台つくったりLED入れたりっていうのが本格的になっていきました。」

としくに「最初は本当にクヌギで遊んでいたおもちゃを外に持って行ってスモークたいてピカピカさせていただけなんだけど、大きい箱になると良い機材にしなきゃいけないから YAVAO が VenusLaser っていうちゃんとしたレーザー業者のところへ勉強兼アルバイトに行くようになって色んな知識を持って帰ってきてくれてそれが今 huez に落とし込まれている技術の基盤になっていますね。」

YAVAO「いつの間にかこんなことになってしまったね。」

としくに「レーザー屋さんになってしまった。」

── 最初そういう気はなかったんですか?

としくに「YAVAO は元々映像作家だったもんね。」

YAVAO「そうだね、映像作家をやりたいと思っていた時に tomad から banvox のPVの仕事をもらって撮ったんだけどお蔵入りになってしまって心が真っ二つに折れてすっぱり映像やめれたっていう…… (笑) 」

としくに「あの時 YAVAO さんはお寿司屋さんに映像をやろう! っていう気持ちを全て置いてきたんですね。」

YAVAO「そうですね (笑) 。あと、本当に初期の頃は『もうなんかやけくそでサマーオブラブ』でプロジェクターを担いで、としくにの顔をスケブリさんのVJの上からかぶせてイリーガル的にVJをやったりしてたね。確かプロジェクターを持ち込んだら無料で入れるみたいな料金設定だったんだよね。」

としくに「本当は UNIT の奥にあるスクリーンにあてて音楽聞きながらワイワイやるっていうのを僕と YAVAO は何故かスケブリさんがメインでVJをやっている上から当て始めてそれを見てゲタゲタ笑っているっていう (笑) 」

YAVAO「その時お客さんで来ていた exonemo さんと yang02 (やんツー) さんがそれを見てアイデアを思いついてやろう! って話になって一緒に VideoBomber という作品を作ったり、『REPUBLIC Vol.9 ~映像作家100人』で exonemo さんがVJを引退していたし本来はやるつもりはなかったんだけどアイデアがあるからVJをすることになって「大量の白タイツを着て舞台に上がってくれる人はいないか」っていうのをオーガナイザーの石沢さんに聞いたらしくて、石沢さんは渋家のことを知っててくれたので渋家に話をくれたんですよね。

僕はメディアアートが好きで色々知っていたのもあって話しをもらった時は驚きました。日本のメディアアートの第一線の人や! みたいな。

で、僕らは張り切って白タイツを着て、プロジェクターを振り回したり「こうやりましょうよ!」みたいな提案もしつつ tomad がDJやって、VideoBomber をやらせてもらったりして、その時くらいから演出や特殊効果面白いなってなって思い始めたのも今の仕事に繋がるきっかけですね。」

 

2. 渋家とマルチネイベント

としくに「毎回イベントの際は tomad が結構無茶な事を言って僕たちが悲鳴をあげるって感じですね。 今回だと会場を「真っ白にしたい」とか「すごい点滅しかしてなくていい」とかいろんなこと言うんだよ。

『東京』の時だと「巨大なお立ち台が欲しい」とか「ストロボがくっついててレーザーもLEDもビッカビカしてそこに人が乗って暴れても壊れない光るものが欲しい」って言われて。 クラブイベントだから前乗りも出来ないし当日に組まなきゃいけないくて直前は地獄でした。

あと、『歌舞伎町マルチネフューチャーパーク』も辛かったですね。 風林会館っていう特殊な場所だったのでソファをはけなきゃいけないしプロジェクターを2枚吊ったり、しかも tomad がブッキングをもうひとつ入れたから仕込み時間が減って会場入りして1時間くらいしかなかったんだよね。でもちゃんと時間は押さずに始まって1時間くらいで入場規制になってたね。」

tomad「しかもスピーカーもなくて更地からの準備でしたね……。スピーカー持っていって、単管立てて、幕張って、プロジェクター調整して電源引きまくって、ソファーはけて……。あれはアートだった。」

としくに「もはやね!」

tomad「あと渋家とやった大きい仕事はやっぱり ゆず じゃない?」

としくに「そうだね、TOY’S FACTORY の社長の稲葉さんと tomad が知り合いで「渋家っていう変なところがあるんでしょ?」というところから始まって「ライブでこんなことやってほしいんだ」って稲葉さんが手書きで書いたプランを見せられて断れる訳もなく「横浜スタジアム3万人ソールドアウトしてるから安心して!」って言われて、逆に安心できないわ! みたいな。 そんなことが2015年の5月くらいにありました。

『ゆず 弾き語りライブ2015 二人参客 in 横浜スタジアム』というタイトルで横浜スタジアムの円形舞台で弾き語りライブをするという形でお客さんを集めてるからびっくりさせたいと。

「ダフトパンクみたいにクラブっぽいことやってよ!」みたいなオーダーをもらって、MaltineRecords 周りのトラックメイカーさんたち、それこそ今回出演する 三毛猫ホームレス さんとかに ゆず の楽曲をミックスしなおしてもらって僕たちがダンスの振り付けや演出などをしたりしましたね。」

── 大変だったポイントは?

tomad「とにかくでかい。」

としくに「僕たち最大でも2000人キャパくらいしかやったことなかったのにドームって2万人とか入るんだよ、あの一角で僕たちが今までやった人数くらいだねみたいな、しかもステージに立ってお客さんとか見ても本当に米粒みたいなんだよね。

それに今までだったら自分達で機材を持ってクラブ内を走り回っていたのにバイトさんたちを使って機材を運んだり今までやったことない規模で全て桁違いだったから自分もわけわからなくて、なんとかこなせたとは思うんだけどよくわかならない気持ちになってたよね。」

── としくにさんは演出をされていたんですか。

としくに「演出とか総まとめ、ディレクション、YAVAO がエンジニア周りを担当していました。 あと僕がステージ上の設置物をつくったりしてましたね。」

── ゆずの演出以後仕事の規模って変わったりしましたか。

としくに「お客さんより出演者達の僕達への評価が変わったのかもしれないですね。ゆず をやって失敗したって話は出てないから安心して仕事を振る事ができるようになったのかなと思います。今まで僕たちって不安要素の塊でスーパー飛び道具みたいな立ち位置だったからその評価は変わったと思います。今はとりあえず huez に任せておけばなんとかなるみたいに思ってくれているみたいです。」

── 仕事で大事にしているところはありますか。

としくに「渋家株式会社 は法人格で huez はVJユニットでアーティストとして独立しているという部分は大切にしています。 そうじゃないとアーティスト本人達と喋れないしやっぱり本人たちと話すとギリギリなことをやってみようと挑戦できるんですよね。それにアーティスト自体とコラボしている感は僕たちの中ではあるので。」

YAVAO「やっぱり作家性を持っているのは色々な大人が絡んでいたとしてもアーティスト本人のことが多いからね。良いもの作ろうと思って演出的なことをやる時はアーティストと一緒に作っている部分があるし、今回の『大都会』と『砂丘』も tomad のコンセプトをベースにどう作るかという考え方をしているし、そういう作り方はうまくなってきたよね。」

としくに「最初はやりたいことを詰め込もうとして爆発する感じだったからね、まとまりがなかった。去年、tomad に駄目出しで「一発芸」って言われた時にいろいろ感じるものがあって、やっぱり特殊効果だからレーザーとかLEDって一瞬の破裂はすごいんだけどそれで終わってしまうところはあるから、その一発芸感がなくなるとうに構成を組まないといけないというのは近年のアーティストのライブとかで鍛えている部分ですね。」

 

3.「大都会」と「砂丘」演出プラン公開

としくに「今回 WWW と WWWX と二つのイベント同時開催するということで、その両方の会場内のライティング演出を huez でやります。『大都会』の方は tomad に「大都会感」と言われたので、僕の中ではカラフルだったり、うるさかったりするものかなとおもっているので、『大都会』はレーザーとLEDとLEDディスプレイを入れてVJが普通に入るカラフルな感じにしていこうかなと思ってる。」

YAVAO「今回物量攻めだよね。」

としくに「レーザーが9台、LEDディスプレイ6枚、VJが数人、そこにLEDの光るバーを入れてという感じです。レーザー9台はかなり多いですよ、WWW は通常2台あればいいのでフェスくらいの規模感の台数だね……。」

としくに「演出的には直線感、バキッとした感じの派手さを出していきたいなと思ってます。今まで huez が使っていた派手な機材を一通り詰めて、出演者も派手な方々が固まっているのでその方たちの派手さを助長できたらいいなと。 演出プランを作る際に tomad に「大都会ってどこ?」って言ったら「新宿とかではない」って言われたから渋谷とかのカオス感が近いのかな?」

tomad「でもあんまりカオス感を出しすぎない方がいいかも。 整理はしてほしい。」

としくに「機材の置き方はシンメトリーさじゃないんだけど綺麗に並べようかなとは思ってる! きっちりとしたルールが限界まで詰め込まれているみたいな感じで見せれたらいいかなと。」

── 今回のPVもその様なイメージで作られてますよね。

tomad「PVもそうだし、ロゴを見てもらえれば、イメージはわかるかなと思います。 カオスにはなってないけど賑わいはあるみたいな。抽象的な、都市計画的な感じで線を引いて都会っぽさを出しつつ、でもモンドリアンみたいにならないように多重にレイヤーがたくさん重なっているという感じですね。」

としくに「『大都会』はVJが GraphersRock さんなので作家性や個性が生きるように合わせようかなと、LJは僕と KENT っていう最近入った若い子で Pa’s Lam System とか PARKGOLF のバキバキしたのが得意なのでそこは目玉にしたいなと思ってます。」

tomad「多分砂丘の方が今回難しいですよね。」

YAVAO「最初に言われた tomad のイメージがドイツの Berghain っていう。『砂丘』っていう “砂感” にこだわって tomad に提案していたのだけど、白っていうイメージとスモークを強くたくイメージはあって今回はストロボを予算の限界まで使い切って入れました。全部で18台入れます。」

としくに「図面上にある吊ってあるものは全部ストロボです。」

YAVAO「どうなるかわからないんだけどね。淡々とテクノなイメージで白く会場を光らせてるだけだと変化のつけようがなくて、本当は色があると切り替わるタイミングで見せれる気持ち良さがあるけど今回はそれが出来ないのでストロボで右から光が流れたりするとうにしようかなと思ってます。」

としくに「こっちの方が攻めてるよね。 『砂丘』はDJブースも乳白色の板をつけてDJブース自体も発光できるようにしようかなと思ってます。」

YAVAO「『大都会』がビルの窓のつぶつぶ感みたいなそういうイメージでLEDとかカラフルなピカピカした感じだと思うんだけど、『砂丘』は逆で頭上にレーザーの面ができるようなシーンを作りたいと思ってます。

あと、『砂丘』は WWWX が新しくできてその場所性の良さも今回のイベントのコンセプトに練りこまれていて、シンプルにしつつ変化もできるような白を基調とした演出というのでストロボを大量みたいになっていきました。

それに今回スケブリさんが『砂丘』の方でライティングで入ってくれるんですよね。 『砂丘』はVJ入れないで2人でライティングのみでやります。」

tomad「いつもより繊細な感じだよね、これまでは大ネタ! みたいな感じだったので。」

としくに「今までは乱雑に発光しているものがある。だったのが今回は全てが制御下に置かれていて見せれるものになってるからね。特に『砂丘』は今まで使っていたシステムをどれだけ精密に制御できるか、『大都会』はどれだけ美しく見せる事ができるかが課題だからね。」

tomad「ようやく美的センスの段階に突入しましたね。」

としくに「そうだね。それぞれのアーティストにあった演出ができるようにしたいよね。 各アーティストにテーマカラーや合うものはあるし、その後も個人的に呼ばれちゃうくらいの勢いをもってやっていきたい。ちょっとしたフェスみたいなものにできれば、で一瞬フェス超えするみたいなことがやりたい。瞬間風速は ULTRA 超えをしたいなと思ってます。」

YAVAO「体調が悪い人とか倒れたりしないか心配だよね。」

としくに「WWW と WWWX 2会場あって外にも出れるしラウンジも広いからきつくなった人は逃げるべきと思う。メインフロアには逃げ場があんまりないので……。」

 

4.これからの渋家株式会社、huez

としくに「僕らは自分たちのことをVJって呼び続けてるんだけど、世に言う映像を作ってミキシングするVJってじゃなくて、ビジュアル、空間のジョッキーをしてました。huez でVJする時は「フレームの変更」をテーマに活動していて、プロジェクターで投影するのか、レーザーでアニメーションを書くのか、LEDディスプレイ、LEDテープを使って型どったりするのかを変更してしまうということをしています。」

YAVAO「グラフィックも映像も作るセンスがないからどう見せるかってなった時にフレームを変更する面白さしか残らなかったみたいな、本当は格好良い映像が作れたら真っ当なVJになりたかったんだけどなれなかったから他の手段としてこの形が残ったという感じです。

コンテンツでどう見せるかじゃなくて、プロジェクター自体が動くとか、普通に投影するんじゃなくて違う方法で映像を見せるとか、根幹の部分の見せ方の変更に僕自身が興味を持ちやすいんですよね。」

としくに「ある意味飽きやすかったのかな僕も YAVAO も。LEDもレーザーも深めれば深めるほど良さがあったりするんだけど、そうじゃなくて組み合わせたり、どう使うとかに興味があって、次から次へと「次なんかない?これあったら面白いよね」みたいなことをしていたら一番最初はストロボしか使えなかったのに気付いたらLEDテープを輸入したりレーザーも買って来ちゃうしみたいな。

最近は YAVAO は次は遺伝子やバイオ的なのにいくんじゃないかとかそういう話をしたりしてます。 次は床面が光るとかそっちのほうにディレクションが流行っていくんじゃないかなみたいな。」

YAVAO「技術的にはそんなに俺らはプログラムも読み解けるくらいのレベルなので強くないなっていう自覚はしていて、そこら辺はどう戦略していくかは考えてます。

あとは技術どやりにならないようにしたいというのはあって、演者さんが動いてそれに映像が元々合うように作られていればそう見えるという状態だったら別にそれを無理しなくてもいいのかなって思っちゃったりするんですよね。」

── 仕事で今MVの作成もしていますよね。

としくに「MV作成もやってますね。 ステージをみてこれを映像に落とし込めないかっていう相談がよくきます。 あとは colore さんからインスタレーションのシステムを作る仕事があったりします。

ベリーアンドチェリーっていうアイス屋さんのゴミ箱に蓋を捨てるとスロットが回って景品が出るみたいなスロットマシーンを YAVAO がつくったり。 あとはドラゴンクエストの舞台のプロジェクターを設置する仕事だったり。」

tomad「そういう地味なやつもやってるもんね。株主総会の準備とか。」

としくに「一応法人格で会社運営しているからね、アーティストと一緒にやるっていうことはやっぱりコストをかけてしまうところもあるから、色んなお仕事をもらって受けたりしてるね。

うちのメンバーの興味あるものを仕事にしていけると良いなと思っていて、huez はステージ演出やVJユニットとしてアーティストワークをして、渋家株式会社 がクライアントワークを受けているという分け方をしていますね。」

── これから増やしていきたい仕事などはありますか。

としくに「YAVAO が来年くらいからゲーム制作してみようと言っているのとアーティストのプロモーションかな。」

YAVAO「自分の中でやるタイミングが色んなことに対してあって、ゲームがそろそろかなっていうのはあります。

技術や演出面が今はバブルじゃないけどたくさんいて、1回熟成期になってきたという感じがあるのと僕の興味として「人のモチベーションをあげるような仕組みやデザイン」に興味があって、例えば Pokémon GO って歩きたくなるようなデザインがされているじゃないですか、そういう部分を掘り下げたいという気持ちがあって、でも研究肌ではないので作りながら知っていくみたいなことをやりたいですね。

今やっているステージ演出もどうやってお客さんが楽しいと思える空間をデザインしたり、演出が入ることによって行動が変わるというところに興味があります。」

としくに「僕はプロダクションみたいなことはしたいと思っていて、一緒にライブを作っていく時に根元まで攻めるととなると本人をマネジメントしちゃうのが一番良いんだよね。

マネジメントすることによってやりたいことがさらにやりやすくなると思っているのと僕達もそこをできるようにならないと本当にやりたいことができないのかもしれないと思ってるので。

あとは2018年くらいまでに渋谷にクラブを作りたいですね。アーティスト本人たちが気にせず色々なことをぶっちゃけやってもいい箱みたいにはしたい。」

── としくにさんは渋家もそうですが場所作りやコミュニティを作っていくことが好きですよね。

としくに「僕自身が人が集まっている場所が好きなんだと思う。その場所で何をやるかは個々の自由だと思うのでその場所にいるモチベーションの高い人に合わせて huez や会社が合わせて動いていくようになるんだと思います。 何やりたいかが重要ですね、人を取り扱ってる仕事だから、その人の方が重要ですね。」

── 誰とやりたいかみたいなことですね。

tomad「多分僕ととしくにって持ちつ持たれつで、僕は1人でやっていたらどんどん引き篭もって人とコミュニケーションしなくなって、いざとなった時に助けてくれる人が誰もいないみたいな人生になり得たんだろうと思っているので。」

としくに「あと納期が間に合わなかったんじゃない?」

YAVAO「そうね。その辺の制作進行的な部分も抜けててるからね。 あとはとしくにさんの周りって自然と人が集まる傾向があるからドライな言い方をすると利用しているところもあります。」

としくに「僕自身も周りに技術好きな人とが集まってくれてそれをまるで自分のことのように振る舞えるというずるいところがあるよね。 でも人を集めた責任は自分にあると思ってるので責任を持って面白いものができて、かつ失敗しないようにしていこうとは思ってます。」

YAVAO「あと僕たち元々ニートで社会人に対してコンプレックスがあったんだけど仕事をして、色々な人たちを見ていく中で人間性の部分でうまくいかない人達もいるんだと思いました。

ニートしていた時はシェアハウスに住んでいたしお互いの嫌な部分で喧嘩するところにコストをかけていたから人間関係の部分は矯正されていったのかなと思って、社会に出てみたら意外と自分達もいけるんじゃないかと思う部分がありました。」

としくに「今やっている仕事は思ったよりもコミュニケーションが必要な業種でもあるのにその辺をうまくできない人も意外に多かったのもびっくりしました。でも僕が喋る妖怪っていうのもあるとは思うけど (笑) 。社会人全員100%すごいみたいな感じで見てたけど意外とそうでもなかった感じはあった。」

YAVAO「みんな同じ人間なんだなって感じたね。」

Text : BUG-MAGAZINE編集部