写真家・山本華を許せ

いいか・おまえが・山本華を・知らないわけが・許されない・とにかく・彼女の・写真は・今も・成長している・ぞ・さぁ・はじめる・よ・というわけで本日は写真家の山本華さんの制作について、また仕事では「ゆず」の撮影やdeadfoxxに所属しライブなども撮影する彼女が何を考え、感じているのか。お話を伺いました。

アメリカのシリーズ by 山本華

──高校時代から写真を撮っているとのことですが、大学に入ってからはどんな感じですか?

高校の時の写真とかカメラの存在っていうのが、今とは違ってて友達を作るきっかけに使ってたんですよ。どういうことかっていうと、高校とかの知らない人たちを撮って、写真を撮ったことをきっかけに仲良くなるみたいな。そんな感じで写真が使われていて、写真の撮影とかももちろん楽しかったけど、コミュニケーションの一環として写真を撮影するというのが高校時代の使い方。大学からは、なんて言うんだろうなぁ、生活が変わって一人暮らしになったってことだよね。自分の生活に気を使わなきゃいけなくなった。負担が増えて写真どころじゃないみたいな感じになっちゃって。けっこう辛かったんですよ。

──そうですよね。

実際辛くて、金銭も不安だし、学業も不安だし。友達がゼロなのは中学高校と経験したはずなんですけど、なんだろう、今までになく孤独な感じというか。あったんですよ。けっこうみんな経験してることかなーと思うんですけど、それを一層身に感じて。それを考えているときに第一回目の写真論の授業の時に、どう言う意味だったかは覚えていないんだけど、教授が「写真は孤独である」みたいなことを話していて、それだけすごく覚えている。なんかしっくり来たんですよね。そこから周りの人を撮るのをやめて、自分の家とか部屋の中とかそういうところに焦点を絞って1年間は制作していました。

 

──それは2017年?

そうです。アメリカに行くまでは自分の家とか自分のこととか。

 

──シャープでかっこいい写真たちですね。

本当ですか?

 

──鏡越しに自分が写っているやつとか、新時代を感じました。

自分のネガティブな部分に向き合うというか、ポジティブな感じに撮ろうというと思っている実感はあるんですけど、どうしても撮る対象とかが高校の友達を撮っているときと比べると違ったものになっていて、けっこう鬱っぽいところが出ているかなと思います。今考えると。2017年はそれを撮ってました。だから人を撮る気ももう全然なかったんですよ。大学の人たちとか。

2017年家の中のシリーズ by 山本華

──へぇ。

全然なかった。

 

──意外。何が興味の対象なの?

人ではないです。その写真をコミュニケーションのために使っているっていうのも、写真を数年間やって撮り終えたあとに気づいたこと。コミュ障だと思ってなかったけど、実はそういうカメラの使い方をしていたことで、自分はコミュニケーションを取るのが苦手な人なんだなというのが理解できたりとか。2017年に自分の生活を撮ってみて、けっこう暗い人間なんだなぁとか、自分のこと、自分のプロフィールを書くのが苦手なように、自分のことを知るってことが一番興味がある。

 

──探求ですね。

かなぁ。けっこう自分の意見も言えないタイプなんですよ。人の意見に乗っかっちゃうというか。ずっと一緒にいれば分かると思うんですけど。だから、自分のことがよく分からなくて、写真で掘り明かして行くというのが楽しい。けっこう時間かかるけど。

 

──絵を描くみたいな感じ。

多分そう!写真撮るのは一瞬だけど、積み重ねて、自分にどういう一面があるかというのを探して行くのは絵画に近いかな。自分自身と向き合う時間は他の人より多いんじゃないかなと思う。

 

──高校の時、写真を始めたきっかけってなんだったの?

高校一年のときに付き合ってる男の人がいて、で、私は部活も勉強も高校のときあまり打ち込めなかった。かといって趣味とかもそれほどなかったから。恋人だけが生きがいみたいな感じだったんです。でも、振られて何も無くなって。夏休み前に振られたので、夏休みはバイトだけで過ごしました。これじゃあダメや、みたいな気持ちになって、それで夏休みのバイト代で溜まったお金でなんかやるかって思って、ちょうど入学直前にiPhoneに変えたことで携帯の画質みたいなのに感動していたから、ちょっとレベルアップしてみるか!みたいな。そんな気持ちでカメラを買いました。

 

──それで友達を撮りはじめたんだ。

だから買ったきっかけと撮る対象はぜんぜん関係がないかな。

 

──今年(2018年)はどういうのを撮るつもり?

やっと高校の時の写真と、2017年の自分の生活の写真と、アメリカに初めて行って、全然違う場所に行ったことで文化とか人とか建物とか土地とか全部自分にとって新しいものだったんですよ。それが面白くて、そういうところにも興味があるんだなというのが知れて。今年はもっと自分の生活から離れて撮影して、自分の中の新しい一面を探せる作品の制作に打ち込めればいいなと思いました。

 

──部屋の外へ。

今年は部屋の外へ出たい。去年はずっと部屋の中にいたから。

 

高校時代のシリーズ by 山本華

 

 

──高一から写真を始めたってことは、もう始めてからもう5年目?

4年目ぐらいです。

 

──個展やろうみたいなのは?

個展は、区切りが必要かなって気がしてて。時間の流れを気にしていて、高校の写真だけだったら、カメラ始めてから卒業するまでっていう期間があるから、それまでで個展をやろうだったらできるけど、高校のときの写真は今更個展やろうって気にはならなくて。といって去年から始めた家の中のシリーズも終わってないというか、一人暮らし続いている時点で終結していない気がしていて。

 

──同棲が始まるまでは。

それも面白そう。もしもやることになったらそれもシリーズに含めたい。アメリカのシリーズだったら三週間っていう区切りが終わったから、やろうかなとは思う。

 

──ストーリー単位なんですね。

そうそうそう。ちゃんと区切っていきたい。私は作品撮りっていうよりかは、スナップが一番好きでそこに興味があるんだな、っていうのをアメリカのときも感じて。それを撮り貯めていきたいという気持ちが大きい。

 

──学校でグループ展をしたと伺ったのですが、何を展示したんですか?

そのときは6人で写真やっているメンバーを集めて「視るとはどういうことか?」みたいなところをテーマにsee saw(シーソー)って展示をやって、そのときは全員それぞれ2枚づつ同じサイズでプリントして同じ枠をつけて、けっこうバラバラに展示して行くんですよ。壁に貼るとかじゃなくて、その場に設置するという形でデカいプリントを置いて、来た人に配る地図みたいなものも、誰が誰の作品みたいなことは書いてなくて、匿名性があって、ネットに画像が転がっているみたいに、誰がどの画像か分からないような展示をしました。

 

──それは面白いですね。

それを多摩美の芸祭でこの前やって。そこが一番最近では労力を使った展示ですね。

 

──評判どうでした?

よかったです。かなりよかったです。アーカイブはまだ上げてないんですけど、写真はあるので近々上げます。

 

──近々写真の賞とかに応募する予定は?

あっはっはっはっは(突然笑い出す)

 

──知ってるんだけど、あえて聞くよ!

次の機会は写真新世紀と、夏の1wallも考えてます、でも一番は写真新世紀で、ちゃんと形式も整えてアメリカのシリーズを出そうかなと。

 

──アメリカのシリーズなんですね。三週間でしょ? よく作品にできましたね。

当たり前にならないうちに撮りたかった。分かりますか? 景色に慣れるうちに全部が新鮮なうちに撮っていきたいのと、ライブの撮影についていってたんで、毎日必ず写真を撮らなきゃいけない状況だったんですよ。なので、一緒にいる人たちのドキュメンタリーも撮りながら、ライブも撮って、その間に景色、スナップを撮ってたんで、1日300枚ぐらい撮ってたんですよ。それで三週間過ごしていたので、けっこうボリュームはあります。

 

──ほかに行きたい国とかは?

それはすごい考えてます。アメリカはやっぱ行きたいなもう一回。テキサスのあたりを、テキサス・オクラホマ・アーカンソー・ルイジアナ、ちょっと国境を超えたりもしたんですけど、メキシコへの興味はけっこう湧きました。メキシコは絶対行きたいなって。

 

──鮮やかでいいですよね。

鮮やかでいい。人も良すぎた。建物が緑とか黄色とか赤とかで構成されて並んでるんですよ。感動した。アメリカはやっぱまた行きたいなぁ。

 

──デカいのはいいよね。

デカいのいい。デカいのが本当にいい。車で走ってる時の外のなんもない景色が本当にいいよなって。撮りたくなる。

 

──日本じゃ住宅街が無限に続いてますからね。

なんもない真っさらな土地って日本に無いんだなって思いました。でも、なんだろう、ライブハウスとか音楽の場所にいる人たちを撮るのは面白かったから、音楽の盛んな街、デトロイドとかシカゴとか行きたいです。もうちょっとアメリカを掘り下げていきたいかな。

 

──映画や小説など、他にインスピレーションを受けるものってありますか?

あるかなぁ…………。

 

──ない?

無いかもしれない。パッと思いつかない。

 

──じゃあ人は?

人なら出てきそう。instagramの友達は自分の海外に行ってみようという興味とかを、誘導してくれている気がします。特定の人もいますし、ペルーの友達なんですけど、彼女は日本が好きで。南米に住んでいるんですけど、向こうの方の色使いとか影響を受けました。原色。いろんなところに行っている人を見ていて。私は映画にインスピレーションを受けているわけじゃ無いと思うんですけど、映画っぽい何か、なんだろう。色味というか。

 

──単純に私がアメリカのことを映画でしか知らないからそういう聞き方になってしまいました。

そういうのを意識しているような、感じはすごい受けます。興味の元ってのはネットだったりとか、ネットで見かける写真だったりとか。正直あんまり自分の写真が何に影響を受けているか……。

 

──同世代で気になってる人はいますか?

森栄喜さん。

 

──全然年上ですね。

2013年のこの写真集わかりますか?(といってiPhoneから画像を見せてくれる)これで木村伊兵衛賞撮ったんですけど。

intimacy

これは超影響受けてますね。これは同棲した恋人のスナップなんですけど。

 

──これはまだ読めてないですね。

これ見た方がいいです。確実に。学校の図書館で10回ぐらい借りてるかもしれない。私も2回ぐらい会いに行ってる。あと前から題府基之さんは好き。あと同世代かぁ……。自分と他人比較しがちなのであんまり同世代の写真を見なくて。見たくなくて。

 

──それは影響を受けてしまうから?

影響を受けるというか、落ち込む。同世代が展示しててバカ売れしてると落ち込んじゃうんですよ。あはは(笑) 何撮ればいいのかわかんなくなっちゃう、だからあんま見ない。自分のペースでやろうと思いつつも。

 

──それは意外でした。

あと、ナン・ゴールディンと森栄喜さん。もうちょっと前はパンク思想があって、高校の時はシャッターチャンスとか狙ってて。

 

──パンク思想。

この瞬間だ、みたいのを撮りたかった。けど、今はなんかそんな感じゃなくて。あえてシャッターチャンスを狙わないことで、ぬるぬるしてるというか。人が写真を見たときに、その前後を予測するじゃないですか。そういうのを、させない……。というか。

 

──分かります。波の頂点を狙いに行かないということですね。

行かなくなった。そういうところは森さんとかの影響を受けているなと感じます。あの人も徹底的にシャッターチャンスを狙ってここだって撮り方をしてないと思うんです。そういうところが、似てきている気がする。

 

──普段はどういう感じで写真を撮ってるの?

普段はあんまりカメラを持ち歩かない。

 

──まだ部屋のシリーズが続いているんですね。

だからカメラを持ち歩く必要がないっていうのもあるし、外で写真を撮るっていうのが、シャッターを切るのにすごい時間がかかるんですよ。体感的に1分ぐらい待ってるんじゃないかな。それでもシャッターチャンスを狙わないってのは自分でも不思議な感じなんですけど。

 

──無意識に狙っちゃいそう。

だけど、シャッターチャンスはあんまり狙ってなくて、一回切るのが遅いから外でものが動いてたりするのを撮るのが違和感がある。で、あんまり持ち出さない。家で1人でいるときに、動かないものをウロウロしながらちょっとづつ撮っていくやり方です。ライブ撮影とかはパッパ撮らなきゃいけないじゃないですか。だからそういうところのギャップというか、波みたいなものは別だと思ってます。制作とは。

 

──やってみたい仕事とかありますか?

文章と一緒に仕事したい。小説の表紙を撮ったりとか、去年、室井雅也さんのCDの歌詞カードの中の写真をスズケンさんに頼まれて、一緒にやったんですけど。あれはけっこうよかったです。曲を聴いてそれをイメージしながら写真をどう撮っていくかみたいに考えるのは楽しくて。音楽とかもそうですけど、自分で意味を読み解きながら他の人と話しながら写真を構成するというのがやりたい。

 

──これから写真を始める高校生にアドバイスなどあれば。

ん~~、無駄に考えずいっぱい撮りなさい(笑) あはは(笑) あと友達に適当にお願いしなさい。

 

<プロフィール>


山本華 Hana Yamamoto

1999年生まれ。15歳のときにカメラを手にして思考を始める。2018年現在、多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース一年。

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聞き手: 立花桃子
編集: Bug-magazine編集部