TLで見かけるたびに花咲の絵に惹かれていた。次の瞬間には「会いたいです」とメッセージを送っていた。1998年生まれの花咲は人生初の雑誌連載を控えて、何を想うのか。その制作スタイルの今をそっと保存し記録した。
1. 花咲の作画スタイル
──花咲さんは1日どれくらい描いているのですか?
あんまり描かないですね。最近は本を読もうと思って本を読んでいるんですけど、夜寝る前に一枚ぐらい描いています。
──掲載する雑誌は週刊? 月刊?
月刊です。でも掲載は不定期です。
──どの雑誌かはまだ秘密ですか?
今書いているのは成人向け漫画です。新しく連載しませんかって来てるのは、まだ媒体が決まってないんですけど、いくつか候補はあって「と*******」か「く*****」です。
──編集者がすでに目をつけていたとは初めて知りました。
担当者に面倒みてもらっている感じです。
──それはTwitter経由で?
そうですね。
──大島智子さんと世界観が似ているなと感じていました。
「パルコでもロイホでもラブホでもいいよ」を見に行こうと思ったんですけど、結局行かなかったんですよね。
──尊敬している画家やイラストレーターなどはいらっしゃいますか?
最近はバスキアのドローイングを見ています。いいかもなって。
──パソコン以外で絵を描いて見たいというのはありますか?
紙に描いて見たいんですが、白い紙を前にすると頭がボーっとしちゃって描けなくなっちゃうんで、今のところまだ描けないんですけど、いずれは描きたいと思っています。
──花咲という名前はどうやって決めたのですか?
いつも寝ているベッドのカバーが花柄だったんです。
自費出版計画はいっぽ進めるために足を上げ始めたとこです.
— 花咲 (@knhanasaki) 2017年12月18日
──Twitterで本を作るとつぶやいていたのですが、それはいつごろ作られる予定ですか?
今のところ言ってるだけなのですが、今年中にはやりたいと思っています。まだ、話を作る要領がつかめないというか、今書いている漫画は編集さんが「こんな感じで書いてみれば?」とヒントはくれるんで、それに則って描いてるんですけど、自分で話を作るってなったときに、まだうまく要領がわからないので。今のところはひとつ話を作ったら1部だけ作って1部だけ売ろうかなって。
──1部だけ?
いっぱい刷らないで1部だけでいいかなって。
──ハードコアですね。
ハードコアですけど(笑) とりあえず売ってみようかなと。いっぱい刷るとお金かかっちゃうんで、ちょっとだけ刷ろうとしても、さらに余計にお金がかかってしまうので。
──データをPDFにしてキンコーズで刷るという手も
今は細かいところは決めてないんですけど、ぜんぜん行動には移ってないですね。
──話は変わりますけど、編集者の方ってどれくらいの世代の方がついてらっしゃるんですか?
30歳前後ですね。
──デジタルなことに慣れている世代なんですね。編集者によって違いや傾向などありますか?
僕が関わっている人だけなのかもしれないですけど、融通が効くというか「わけわかんないことになっちゃってもいいんじゃない?」みたいな。とても親身で協力的です。
2. 雑誌の世界
──編集の方と関わり始めて、どれくらい経つのですか?
1年経つかたたないかくらいです。
──けっこう長く関わっているんですね。
芸大落ちてどうしようかなってときに話を頂いて。実家にいるためには一定のお金を払わなくちゃいけなくて、これを断る理由ないだろうなって。ストーリーは書いたことなかったけど。
──コミックマーケットとかでの販売は考えてないのですか?
最終的には出版社とか介さずに売りたいというのがあって、それなんで自分で本を作ろうと決めているんですけど、確かに最近、出版社の方もお金がないと聞いて、下手すると自費出版のほうが儲かるってのが実際あるらしいですね。
──本を作ろうと思ったのは?
去年の12月。つい最近ですね。
──絵を描き始めたのはいつですか?
ずっと小学生のころから描いてましたね。みんなサッカーとかやってたんですけど、うまくサッカーできなかったんで。友達がいないわけじゃなかったんですけど。
──サッカー。サッカーという単語が出てきたのは面白いですね。
男子はみんなサッカーやってましたね。女子はドッヂボール。
──twitterを読んでいると、過去の呪いとの戦いをしているなという感じを受けていて、どのあたりまで聞いていいのか探り探りなところではあります。
ぜんぜん聞いていいですよ。どこまで言葉にできるかわからないですけど。
──子供のころの原体験が絵に影響を与えていたりするのですか?
分かんないですね。1年前の自分も別人みたいな感じなんで、怒られて今もできなくなっちゃったこともあるんですけど
──ああ。それは呪いですね。
余計そういうこと気にするタチだったんで、でも絵に影響を与えているかどうかは分からないですね。
3. 花咲の美学
──絵をアップするものとアップしないものの差ってなんですか?
だいたい描いた絵はよほどのことがない限り全部アップしています。そこ以外で絵が上手い人っていっぱい描いていると思うんですけど。そこまで勤勉じゃないので、本当に思いついたときに描いてだいたい全部アップしているという感じです。アップしないのは、それこそ描き上げられなかったものとか。途中で線が固くなっちゃったりすると見ててこっちも恥ずかしくなっちゃうんで。自由に楽しく描いたやつが見せられるかなと思います。
──絵を描くときの拘りポイントは?
もともとはアニメとか漫画が好きだったから、かわいい女の子を描こうかなという感じで描いてたんですけど、それが嫌になってきたので。デジタルイラストの描き方みたいな雑誌があって、それをみて練習してたんですけど、そういうので得た知識は全部捨てようと思って。下書きとかもしなくなったというか、レイヤー1枚にそこだけで描くということにしました。その方が気持ちいいし、下書きはしないって決めました。漫画を描くとき今まで一回も納得がいくものを描いたことがないんですけど、漫画って仕事の工程上必ず下書きが入るんですよね。
──確かに
まだそれに慣れなくて。ペン入れのときに線が死んじゃった感じになってて。そこに今困ってますね。
──下書きじゃなくてネームレベルでも仕事の上でダメなんですね。そこは編集者との信頼関係だとは思いますが。
とりあえず今の所は規則に則ってというか、ちゃんと描けるようになるまでは生意気言わないようにしようと思って。
──個展のご予定などはありますか?
展示はちょっとやったことない。考えたこともないですね。
──Twitterのほかに発表の場はありますか?
ピクシブもやってたのですが、点数がつくのが嫌で辞めちゃいました。もちろんTwitterもファボ数とかあるにはあるんですが。
──ストーリーを考えるときに見てるものや、読んでいるものはありますか?
ストーリーが考えられなくて一番悩んでます。ストーリーって終わりがあって始まりがあるというのをあんまり気にしなくてもいいのかなって。終わりと始まりがある話ってよく分かんないなって。
──絵についているセリフなども俳句っぽいですね。一言で絵の外側の世界も想像させちゃうというような。漫画になるとどうなるか想像がつかないです。
僕も想像がつかないですね。
プロフィール
花咲
1998年生まれ。幼少のころから絵を描き始める。インターネットで活動していたが、現在は雑誌での連載に向けて準備中。
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