山本悠へと続く道

本稿は「イラストレーター・山本悠 インタビュー」であります。
Q.彼は本当にイラストレーターか?
 A. はい。そうです。
Q.彼はなぜYoutuberの話をしているのですか?
 A. アルコールの飲酒はなかったと記憶しております。

2018年7月4日 収録
聞き手:石田祐規

 

1 山本悠の所有感

 

2018年は登記をして、屋号をとりあえず取って。今年から税金の申告をちゃんとしたい。去年は本当にゼロだから。少し赤字かな。イラストの収入が100万円になるようにがんばります。イラストの仕事をやって、それだけだと食べれないから編プロの仕事で本を作ったりしてる。そういう感じだね。あとはこの大画面でtwitterをやってますよ。みんながtwitterを辞めていくからどうしようかと。

 

──ロバトが辞めたって話は聞いた。

これ勝負だと思ってね。

 

──どういう感じなんだろう。単純に時間持ってかれるんだよね。大好きだから。

そのぶんできた時間をユウイギに使ってるって感じ?

 

──そうそう。孤独になりたいなと思って。

でもtwitter辞めるってぜんぜんありだよね。タバコ辞めるとかよりぜんぜんあり。なんか良さそうな感じがする。そこでやめないってのはさ、老害感すら感じるわけ。twitterってfacebook化してるというか。「おっさん化」してるじゃん。

 

──僕もinstagramのストーリーしか上げてない。

僕はストーリーではカラオケあげてるから見てね。

 

──いいね。あ、フォローしてないかも。

おい! twitterをどうしようかな。怖いけどtwitterをやり続けようと思って。その恐怖に勝ってね。

 

──一時期辞めてたよね?

あんまりやってないときがあったかな。あと、胃になってた時期とか。コンスタントにやってんすよ。2008年からやってんだね。

 

──とつぜん消えたり、名前が変わったりする印象があった。

スクリーンネームはカジュアルに変更してたけど、一回もアカウント飛ばしてない。鍵つけたりとかも一回もない。怖いけどtwitterを続けて、目標としては、twitterをやめた人に、twitterをやっているだけで褒められたい。「山本くんが続けてるから私もがんばろうと思ったよ」みたいな。「今twitter辞めて他のことやってるけど頑張ろうと思ったよ」みたいな。でも、twitter辞めた人はもう、twitter見ないからさ、

 

──確かに。褒めてくれる人は絶滅している。

ロバトが辞めるときは「あ、辞めたんだ」と思って理由聞いたら、「なんとなくや!」みたいなこと言ってたけど、人が辞めたりさ、やったりするのはさ。いいじゃん。ゆうき君が辞めたのは、

 

──意外でしょ。

すげぇいいなぁ、辞めんのいいなぁって思った。なんでやり続けてるんだろう、怖いけど続けてる。

 

──1時間に1個ぐらいギャグが思いついて、それをどうしても書きたくなっちゃうから。

「瀬戸内寂聴が深酒をします。どんな日でしょう?」

 

──わー、ムズいな。部屋の穴という穴からサソリが出てくる。

出てこないよ!

 

──出てこないの(笑)

それお医者さんに止められるやつじゃん。

 

──幻覚が見えちゃってる。

なぞなぞやると、自分はすごいなぞなぞ作ったと思って人に出すんだけど、答える人のポテンシャルが高いときが多い。大喜利的に返されたりとか、すごい真剣に悩まれたりとかするとビビっちゃう。なぞなぞ出すことって罪深いんだよ。

 

──あ、大喜利で返すのは違うんだ。答えがあるんだ。

いや、いいんだよ。一番ショックなのが、自分が考えた答えよりもいい答えを出されるときってのがある。たとえばなんだっけ、「高村光太郎の好きな食べ物はなんでしょう?」って。ヒントは谷川俊太郎も好きです。正解はね、「詩うまい……しゅうまい」って思ってたの。そしたら「詩を愛す……塩アイス」って言われて。

 

──めっちゃいいじゃん。

もう自分のなぞなぞができたって思った気持ちがパチンとはじけて消えちゃうね。メモとかとる? 文章書く時ってどうする? 紙に書く?

 

──ノートに書く。

ノート持てないんだよね。だからバラバラの紙に書いてる。自分でもわけわかんなくなるじゃん。こうやってペラ紙でとっといてあるんだけど、ノートのほうがいいすかね?

 

──おれも定期的に無理なときがくるんだけど、ノートは無くならないから便利だなと思って。ノートブームはいまきてて2冊目。終わるとノートを持たない1年とかあったりする。昔はモレスキンだった。

(紙をめくりながら)捨てらんないじゃん。

 

──無限に取っておけばいいじゃん。

捨てちゃうんだよね。なんか。イライラして。

 

──それはだめだよ。

原画が残ってないから。イラスト仕事で納品したやつも、たいがい残ってない。

 

──仕事のものだったら分かるけど。

え、でも、写真は検索して出せるようにしてるでしょ。

 

──あーね。

捨てるとすごい気持ちいいんだよね。写真だとデータしか残らないのか。

 

──フィルムだったら物が残るけど。

物取っておくの怖くてさ。たとえば10個もの持っておくと、1個なくなったら9個になっちゃうじゃん。9個になったらすげぇ悲しいじゃん。だから10個全部捨てるみたいな。

 

──なるほど。わからん。

そういう感じ。データだったら10個とっとけるから1個だけ無くなったりしなさそうじゃん。

 

──データ損失した2年間とか普通にあるけどね。

とっておくの怖くない?

 

──それが仕事だって割り切ってるかな。写真家はタイムマシンだから。

 

 

2 山本悠が残ればいい

 

──1wallでファイナリストに残ったのってあれ1年前?

そうだよ。

 

──あれはどういうポートフォリオだったの? 今あったりする?

今ないんだよ。また出したから。それで二次落ちでしたよ。

 

──何回出したの?

僕は、出して3回目かな。2回目が展示やったとき。

 

──今回も出したんだ。でも惜しかったよね投票。

盛り上がったよね。ああいうW杯みたいなことがあると盛り上がるよね。

 

──山本悠ってどういうやり口というか。

行き当たりばったり。

 

──審査員も山本悠ベタ推しだったじゃん。

まぁね。いいからね。

 

──でも、あまり考えてること表に出さないよね。

まぁね。出てないんじゃない。考えてないのかもしれない。

 

──つかみどころのない。

色々考えてるよ。

 

──俺と似てるんじゃないのかなっていうのは

安易にそういう、そういう感じの、毎回やっているんじゃないの。似ている人ばっかりになっちゃう。

 

──そりゃそうなんだけど、山本悠は特別よ。

まぁね。

 

──なんだろう。意外と照れ屋なんじゃないかなって。

それはね、そうだね。

 

──あと、作品はあまり作りたくないのかなって思っている。

描くぶんにはなんか平気。むしろ出すのを減らさなきゃって思うくらい。

 

──そうなんだ。写真は撮ったものをまとめなきゃなんないんだよね。

いっぱい撮ると大変になっちゃうね。

 

──それを作品としてまとめるのがウザいなって思う。

そうね。大変そうよね。TOPユーチューバーは収録が短いんだよね。編集の時間がしっかり確保されてる。なるほどー。楽しいからいっぱい撮ってるわけじゃないんだーと思って。

 

──ユーチューバーおすすめなんかあります?

ユーチューバーはですね、おすすめはいっぱいいるんですよ。この前京都の大学生にユーチューバーの話したら、「へぇー、ユーチューバーは見ません。ユーチューバーを見ようとしてYoutubeを見る人って一部の人じゃないですか」って言われました。

 

──ぼくもそう思ってました。

それが僕です。とりあえずYoutubeに行けばなんとかなるか。自分のホームページもyで始まるからさ。ここにたまに来ちゃう。(サイトを見ながら)ここのラーメン屋さん来てね。

 

──「ゆきとら」ね。今度行くよ。

シバターはいいよ。Youtubeなのに急に個人宛にメッセージをアップするわけ。っていうネタなんだけど、これは最近でいいなと思った。ユーチューバーって薄いネタのほうが再生数があって、個性的なネタのほうがウケないんだよね。(と言いながら動画を再生する)

テレビもyoutubeもコメンテーターも「みなさんどう思いますか?」みたいな感じだけど、これは俺に向けてないからね。

 

──長いね! 4分もあるのか。パチンコの話も始まった。

シバターのスポンサーはパチンコ屋だから。イベントでパチンコ屋にもいくから、その宣伝も兼ねてるの。

 

──これめっちゃ面白いな。

このてんちむのも年1とかでしか出てこない良い動画なの。これはシバターのさっきの比じゃない。

 

──物語が発生してる。ニコニコみたいになってきましたね。

twitterに脅迫じみた動画をアップしてた滋賀の不審者にね。てんちむが会いに行くんだよ。

 

──ユーチューバーってこういうのもアリなんだ。面白い。

ぼくも人にビデオメッセージは送ってるんですよ。Youtubeじゃなくて、個人的に。送られた人も困るよね。そういうなんか、Youtubeのメインっぽくないのかもしれないけど。こういうのが好きです。

 

──知らなかった。

本当にいろんなユーチューバーがいるんだよ。Youtubeを設立した人たちのコンセプトって素晴らしくて、世界にたくさんの人間がいるってことを知るためのウェブサービスなんだって。たくさんデータがあっても、たくさん人がいるってことは分からない。だからビデオをみんなが交換しあったら人がいることに気づけるって。

 

──ビデオ交換所だったのか。YoutubeがSNSってことを忘れてた。

コメント欄とかもすごく味わいがある。Youtubeって。

 

──Youtubeのコメント欄とかも見たこと無いな。

最高だよ。分かりやすいところだろヒカキン。

 

──ほんとだ。コメント欄かわいくていいね。

勝手にアンケート取り始めるやつとかいるんだよね。

 

──コメントが小学生みたいで可愛い~! Twitterの殺伐さがない。なんでこんなにコメントするんだろうね?

ヒカキンもコメントに返信するよ。彼は海外のTOPユーチューバーを見て、世界の最先端のやり方でやってる。ヒカキンとカービィが好きだから、人には勧めないけどこの動画が好き。シバターとかさ、紹介しやすくて話しちゃうんだけど、本当はヒカキンが好き。

 

──いい声と表情ですよね。

渋家はYoutuberいないね。ゆうきくんやったら見るよ。ね、ほら、Youtube見ちゃうからインタビューにならないでしょ?

 

──そういうの前提ですから

僕もそういうテイでやっておりますよって。

 

──今は次の展示とかは?

今はゲームを作っております。それが僕の中では2018年、冬前にリリースしたいから。

 

──iPhoneアプリ?

そう。ブラウザで動くならブラウザでもいいかもしれない。機能的に二人でセッション出来ないといけないから、アプリのほうがいいんだと思う。そこはweb制作会社の人たちと一緒に作ってるからその人たちがテック面は分かるから。僕はビジュアルとコンセプトだけって感じですね。あとは、このラーメン屋さんの絵を描いたのがすごい嬉しくてさ。(自分のwebページを見せながら)

 

──「山本悠挿し絵事務所

なかったからさ。挿し絵事務所がさ日本になかったかさ。初めての挿し絵事務所だよ。金沢の食堂101のロゴを描いた。ラーメン屋さんのちょうちんを描くってことはさ、世界中の人に良さを伝えるわけじゃないからさ。この近所で生活してる人、通勤してる人とか。一部の人だけに向ける仕事じゃん。そういうことをやっていきたいね。ビデオレターみたいな気持ち。そういうのが自分のメインの仕事になっていったらいいな。イラストレーターって雑誌の仕事しなきゃ、広告やんなきゃ、とか思ってたし、やらないと食べていけないと思うんだけど。

 

──JTの広告とかをみちゃいますよね。

お金の規模的にやっぱり挿し絵の仕事だけしてても食べれないし、でもまぁ、広告とかはさ自分の仕事の需要が変化しちゃうとか、いろいろあるじゃん。一番やりたいことはなんか分かってきたなって感じ。生きていく方法は分かんないけど。お店屋さんの仕事とかやりたいね。

 

 

3 気づけばそこにある

 

──サイトって自分で作ってるんだっけ?

サイトは自分で作ってる。だからwebデザインもやってるよ。お金もらったりして生きてかないとね。

 

──他人のお金でクリエイションしてるときって一番楽しいからなぁ。

そういうほうが複雑っていうかさぁ、考えることがなんか。自分のためにやってるから自由に作品作ろうとか、絵の歴史とかを気にして作品作るとか、そんな魂胆でいるとモヤっとしたことやっちゃう。人と一緒にやってるとすごい、こう、詰められるっていうか。ビデオメッセージ送ると余計なこととか話さなくなるわけ。

 

──そうね。

人とさ、ただでさえさ、久しぶりに会ったのに、どうでもいいこと話しちゃって別れることってあるじゃない。それが悲しくてビデオメッセージ送っちゃう。本作る仕事とかも読者層とか広いからモヤっとしちゃうかもね。「えー、私のためにやってくれたの。嬉しー」みたいなのを実現したい。嬉しいってなるかは別の話だけど。そういう需要で自分が生きられたらいいね。

 

──誕生日っていつ?

もうすぐだよ。

 

──何年?

1988年7月31日。

 

──単数変換すると「1」か。

なにその適当なやつ。

 

──数秘術だよ、知らないの?

なにその今考えたやつでしょ! そんなことやってるから人はモヤっとしちゃうんだよ! 「1」だとなんなの?

 

──自分から何かを始めたり、すべての責任を背負ってしまう人。

かっこいいなー。当たってると思う。

 

──ちょっと待って、数秘術マジで知らんの?

今考えたんでしょ。知ってるよ。常に今考えたことをさも伝統かのようにやるんでしょ。

 

──普通に検索してよ。「数秘術」で。

そういうサイトも作ってるんでしょ。

 

──もう! どうして俺を詐欺師みたいに言うの!

数秘術のホームページとか作ってるんでしょ。やりそうだよね。事前に作っておくとか。

 

──なんなん

出たでた。

 

──分かってきぞだんだん。胡散臭く思われてんだね。

ああ、でもね。微妙に違くて、胡散臭く思われてんじゃないかなってゆうきくんが思ってると、思うから言うんだよ。

 

──思ってる。

だから言うんだよ。そこはやっぱ言っとかないと。数秘術とかさ、話題の方向性としては胡散臭さを高めていく方向じゃん?

 

──うんうん。

だから完全にそうだよ。胡散臭く思われたがってるんだよ。

 

──はい。

それはなぜかというと照れ屋だからだよ。

 

──そうだよ。

「1」とか人によって数字が出るんだ。

 

──けっこういいっすよ。使いやすい。

datsuoは「6」か。1990年7月16日。「1」は雑魚っぽくない? 6とか7とかいいこと書いてあるし。

 

──そんなことないよ。それぞれ両面あります。ほら、「1」は生まれながらのリーダー。

ここでいろいろみれるんだ。僕は「6」の人が好きなんだ。だからdatsuoもゆうきくんのこと好きだと思う。

 

──同じ数字は相性いいもんね。datsuoちゃんって人のこと好きになったりするのかな? まったく想像つかないな。アニマル感を超越して、実存感の薄さみたいなのすごい好き。

するよ、すごい。痛ましい人に寄り添ったりしてしまう。友達を助けたりしちゃう。相手の気持ちを考えて辛い思いしてる人がいると、自分も辛い気持ちになっちゃう。僕の知ってるdatsuoはね。

 

 

 

 

<直近のイベント情報>

1月2日に金沢の芸宿食堂101でクリスマスのリハーサルやります。

 

<プロフィール>

山本悠 yu yamamoto

1988年生まれ。イラストレーター
http://yuuyamamoto.jp/